インフルエンザの流行は収束しました。インフルエンザの収束と前後して季節性のかぜが増えましたが、幼稚園や小中学校が春休みに入った今は落ち着きを取り戻しつつあります。外来診療は比較的空いています。
・急性上気道炎(かぜ)が流行しています。咳と鼻水が特徴です。短期間の発熱を伴うことがあります。
・溶連菌による急性咽頭炎が幼児・学童の間で散見されます。発熱と咽頭痛と発疹(紅斑)が特徴です。嘔気・嘔吐を伴うこともあります。
・アデノウイルスによる急性上気道炎が乳幼児の間で散見されます。長引く発熱が特徴です。
・胃腸炎が幅広い年齢層で流行しています。最近10年間で最大規模といわれています。嘔吐、腹痛、発熱で始まり、下痢に移行することが多いです。ノロウイルスが主な原因と思われます。
・インフルエンザの流行は収束しました。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は1.97人です。当院で3月後半はゼロでした。今季のインフルエンザ流行の開始と収束は例年よりも1〜2ヶ月早く、ピークは12月後半でした。流行株はA型にほぼ限られ、B型は当院で1人も診ませんでした。B型は隔年で流行する傾向があり、今季流行しなかった分、来季は要注意です。
・新型コロナウイルスの流行は小規模にとどまっています。神奈川県における定点医療機関での1週間の感染者数は2.63人です。当院で1週間に0〜2人です。子ども間での流行はなく、成人(主に親)からの感染例が散見されます。主症状は、発熱、咽頭痛、咳、鼻水です。重症化するケースは高齢者も含めて少なくなりました。急性期の症状は普通のかぜと同様ですが、まれに後遺症(味覚障害、嗅覚障害、長引く咳、倦怠感など)を生じる点が、普通のかぜと異なります。
・マイコプラズマの流行は収束に向かっていますが、ときおり幼児・学童の間で散見されます。マイコプラズマ感染症は、風邪と同じ症状(発熱、倦怠感など)で始まりますが、熱が長引いたり数日後から激しい乾いた咳が現れたりすることが特徴で、肺炎に進行するケースもあります。
・RSウイルス、ヒトメタニューモウイルス(急性細気管支炎の原因となるウイルス)が乳幼児の間で散見されます。強い咳き込みと喘鳴が特徴です。呼吸が苦しそうなときは早めにご受診ください。ヒトメタニューモウイルスの詳細は「院長のコラム」(本年1月)をご参照ください。
・水痘(水ぼうそう)が複数の保育園、小学校で流行しています。当院で1週間に6〜8名です。ワクチン2回接種済みでも罹ることがありますが、その場合の症状は比較的軽度です。
・おたふくかぜの流行はありません。
・麻疹は今年、全国で32名(神奈川県で5名)の報告があります。風疹は今年、全国で4名(神奈川県はゼロ)の報告があります。麻疹が3月以降、都市部で急増しています。麻疹は500〜1000人に1人が死亡する重篤な病気です。感染力が非常に強く、1人の感染者は12〜18人に感染させます(インフルエンザが1〜3人であることから、感染力の大きさをご想像いただけると思います)。飛沫を浴びなくても、同じ部屋にいるだけで感染します。また、妊婦が風疹に罹ると、赤ちゃんに先天性風疹症候群を生じる危険があります。2000年以降、70名の報告があります。麻疹と風疹の流行を止める唯一の手段はワクチンの普及です。自身の健康を守るために、そして社会に麻疹と風疹を蔓延させないために、1歳と就学1年前(5〜6歳)の計2回、麻疹・風疹(MR)ワクチンを接種しましょう。